スタチン系の粉砕など
脂質異常があるけど、錠剤が飲めないという患者さんで、なにかある?というDr.からの問い合わせ。
クレストール:粉砕・半錠不可
有効成分自体が光や熱、湿度に弱いため、粉砕や半錠はおすすめできないとのこと。
リピトール:おすすめできない。ジェネリックにOD錠あり。
湿度、熱には安定、光による着色あり。強い苦味あり。フィルムコートでマスクしているため、注意が必要。
東和薬品が口腔内崩壊錠の、アトルバスタチンOD錠「トーワ」を作っている。苦味もマスクされているよう。OD錠10mgには割線あり。
リバロ:OD錠あり。半錠可。
2mg錠、4mg錠には割線あり。半錠可。リバロOD錠もある。
これもまた、東和薬品がOD錠:ピタバスタチンCa・OD錠「トーワ」を作っている。ただし、1mgと2mgのみ。
メバロチン:細粒あり。
10mg割線あり。素錠で無包装、粉砕しても特に問題なし。ただし、0.5%と1%の細粒があるので、そっちを使ったほうがいいとは思う。
とりあえず、リバロOD錠を処方されたよう。東和薬品は直接の取引がないから、当日に確保するのは難しいのよね。
ヘリコバクター・ピロリの感染判定
ヘリコバクター・ピロリの感染判定の前に、静菌作用を有する薬剤を服用している場合は中止して2週間以上経過していることとなっています。(厚生労働省通達)
この判定方法には、
① 迅速ウレアーゼ試験
② 鏡検法
③ 培養法
④ 抗体測定
⑤ 尿素呼気試験
⑥ 糞便中抗原測定
があります。
鏡検法、培養法は菌を直接観察するものなので、静菌作用を有する薬剤の影響を受けません。迅速ウレアーゼ、尿素呼気試験、糞便中抗原測定は静菌作用を有する薬剤の影響をうけて、偽陰性となる恐れがあります。抗体検査は現在は静菌作用を有する薬剤の影響を受けないとされていて、除菌後も緩やかに抗体値が下がっていく経過をたどります。
また、静菌作用を有する薬剤は、ユービットの添付文書によると、「オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム等のプロトンポンプインヒビター(PPI)、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン、テトラサイクリン等の抗生物質、メトロニダゾール、ビスマス製剤及び抗ウレアーゼ活性のあるエカベトナトリウム水和物等のヘリコバクター・ピロリに対する静菌作用を有する薬剤」という記載があります。ちなみに、抗生物質には除菌に用いるアモキシシリン、クラリスロマイシン等が挙げられていますが、抗生物質は全部、静菌作用を有する薬剤に含むということでした。(大塚製薬DIより)
また、これらの静菌作用を有する薬剤はどの判定方法を用いる場合でも2週間以上の休薬、中止が必要とされています。そのため、逆流性食道炎の維持療法で、ずっとPPIを服用しているような患者さんや、マクロライドを少量長期で服用している患者さん、胃炎でエカベトナトリウム水和物を飲んでいるとか、風邪症状で抗生物質をもらった患者さんの除菌判定には、影響が出ないとされている血中抗体検査でもダメということになります。
実際に偽陰性になる可能性があるかどうかと、保険上問題となるかどうかで差がでてくるので気をつけましょう。
テネリアの適応拡大
12月20日、テネリア錠20mgの適応が「2型糖尿病」となりました。
これで、テネリアの他の糖尿病治療薬との併用の問題はクリアされました。効果、服用回数、併用薬、腎・肝機能障害患者への処方とかんがえると、なかなか使いやすい薬剤ではないかと思います。
ガイドラインでは、メトグルコが第一選択なのに、テネリアはメトグルコと併用できなかったのが使いづらく、他のDPP-4阻害薬では、腎・肝機能障害患者において禁忌に設定されていたり、用量調整が必要だったので、テネリアの適応拡大は大歓迎です。
トラゼンタも悪くは無いのですが、他のDPP-4阻害薬に比べると効果がイマイチのよう。
適応拡大したとはいえ、GLP-1製剤とは併用できません。同じ所に作用するので、併用できないのは当たり前の話で、他のDPP-4阻害薬でも同様です。
メイラックスとレンドルミンの半錠
メイラックス錠 1mg 0.5錠
レンドルミン錠 0.25mg 0.5錠
って処方で、半錠の自家製剤加算を算定できるかどうか調べたら、メイラックス1mgは割線模様で、レンドルミンはニプロからブロチゾラム錠0.125mg「NP」が出ているので算定できませんでした。
この割線模様ってのは紛らわしくて、錠剤には割線のような溝が入っているんだけど、それは模様であって活線ではないよ。ってものらしいです。フルイトランとか、アクトス15とかの1/4にする線はこの割線模様なんだけど、半錠にする線はきちんと割線なのでこっちはまだ納得できるんだけど、メイラックスのは明らかに割線です。
調べると、割線にするつもりで作ったけど、半分にする試験でばらつきが大きかったからこれは割線とは認めません。ってことらしい。
レンドルミンの方は、時々あるんだけど、半錠の用量規格があるものは算定できませんってやつ。このニプロは厄介で、ラシックス錠20mgの半錠規格のフロセミド錠10mg「NP」がでて、ラシックス錠20mgの半錠が算定できなくなったりとか、なかなかやってくれました。いまではラシックス錠10mgが出てますけどね。ブロチゾラムの0.125mg規格はニプロだけなんで、先発の規格だけ見てるとやらかすいい例です。
ネオキシテープ 73.5mg
久光製薬・旭化成ファーマから、過活動膀胱の貼付型治療薬「ネオキシテープ73.5mg」が6/27に発売になりました。薬価は189.40円でベシケア5mgと同価です。
成分はオキシブチニン塩酸塩でポラキスと同じです。ポイントは貼付剤にすることで、初回通過効果をうけないため、効果が高く、代謝物が少なくなったことです。ポラキスでは代謝物が多く、代謝物が抗コリン作用を示すため抗コリン作用による副作用が起きやすかったようですが、ネオキシテープは初回通過効果を受けず、代謝物が少ない分、口渇、便秘といった副作用が少ないということです。
あと、過活動膀胱の人ってトイレが近くなるので、水分摂取を気にされる方が多く、錠剤を飲む時の水ですら、少なくしたいというのがあるそうです(ベシケアODとかウリトスODとかはそういった要望から口腔内崩壊錠になったそう)。貼付剤なら、それを気にすることもないので、コンプライアンスも上がりそうです。
テープの基材は、「要するにモーラステープと同じです」ってことでした。モーラステープって粘着力強いから、貼るのをミスった時には貼り直しって難しいんじゃないかと思ったり。サンプルで試したけど、テープ面同士を貼り付けてしまうとやり直すのは難しいです。このへんはモーラステープと一緒ぽい。
貼付位置は、下腹部、腰部、大腿部で、皮膚症状を防ぐため、毎回貼付位置を変えて貼るようにとなっています。なんで下半身なの?と聞いたところ、海外のデータに合わせて臨床試験をしていて、上腕部では約1.8倍の血中濃度になるので、下半身に使うようにってことでした。下腹部なら下腹部で位置をずらせばいいのかとおもいきや、下腹部・腰部・大腿部でローテーションして使用するのが推奨されている様子。
# あとで思ったけど、この薬って用量調節って必要ないものだろうか…。ポラキスは1・2・3mgとあるけど。
ポラキスが内服で1-3mgなのに、皮膚からだと吸収が悪いせいか73.5mgも必要なのはちょっともったいない気がします。ポラキスのジェネリックの値段もほぼ最低価格なんで、薬自体の値段なんてたかが知れているんでしょうが。
アコファイド錠100mg
【新製品】FD治療剤「アコファイド」 ゼリア新薬、アステラス製薬 : 薬事日報ウェブサイト
ゼリア新薬とアステラス製薬は6日、世界初の機能性ディスペプシア(FD)治療剤「アコファイド錠100mg」(一般名:アコチアミド塩酸塩水和物)を発売した。ゼリア新薬が創製したもの。疾患啓発、早期の市場構築、製品価値の最大化を目的に2社で共同販促する。
FDは食後の膨満感、早期満腹感、心窩部痛などの消化器症状が見られるものの、原因となる器質的疾患が見当たらない疾患。原因は解明されていないが、食物の胃から小腸への排出の遅延が密接に関連していることが分かっている。
アコファイドは消化管運動に関与する神経伝達物質アセチルコリンの分解酵素である末梢のアセチルコリンエステラーゼを阻害し、胃運動の低下、胃からの食物排出遅延を改善させる。
機能性ディスペプシアの治療薬として、アコファイド錠100mgが6月6日に発売になりました。胃の不快感などが続くような患者さんで、胃カメラなどで異常がない状態での治療薬という位置づけになります。使用上の注意点としては以下の注意があります。
上部消化管内視鏡検査等により,胃癌等の悪性疾患を含む器質的疾患を除外すること。
これは、胃がんなどをマスクしてしまう可能性があるとのことで、器質的疾患でないものに使うことという事です。機能性ディスペプシアという適応上、器質的な異常があるものは適応外になるので、これを除外する必要があります。
このとき、胃カメラ等で器質的な異常がないことを確認しないと使えないということになります。胃潰瘍なども器質的疾患に含まれるので、これには使えません。
胃の調子が悪いからって、これ出しときますってな具合には使えないので、そのへんは結構難しいよう。
新薬なので、平成26年5月末日まで、1回14日分の投与期間制限があります。
エクア錠50mgの添付文書改訂
エクア錠50mgの添付文書が改定になり、用法・用量に下記の文言が追加になりました。(H25.2.28に追加になっていたようです)
中等度以上の腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者では、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、50mgを1日1回朝に投与するなど、慎重に投与すること。(「慎重投与」、【薬物動態】の項参照)
これまでは慎重投与という形でしたが、用量を減量してということまで踏み込んでの指示となりました。ジャヌビア・グラクティブ、ネシーナに関しては中等度以上の腎機能障害の患者さんには減量するようにとなっていますが、エクアは肝代謝ということで、あまり腎機能を気にしていませんでした。
MRさんに確認したところ、未変化体も腎機能障害の度合いによって上昇するものの、非活性代謝物の血中濃度が、腎機能障害で上がることから今回の改定に至ったようです。そのため、腎機能がこの数値ならこの用量に!というわけではなく、腎機能が悪い場合は患者さんの状態を考えて、減量を考慮するようにということです。ジャヌビア・グラクティブ、ネシーナよりは腎機能障害で起きる問題は少なそうです。