ヘリコバクター・ピロリの感染判定
ヘリコバクター・ピロリの感染判定の前に、静菌作用を有する薬剤を服用している場合は中止して2週間以上経過していることとなっています。(厚生労働省通達)
この判定方法には、
① 迅速ウレアーゼ試験
② 鏡検法
③ 培養法
④ 抗体測定
⑤ 尿素呼気試験
⑥ 糞便中抗原測定
があります。
鏡検法、培養法は菌を直接観察するものなので、静菌作用を有する薬剤の影響を受けません。迅速ウレアーゼ、尿素呼気試験、糞便中抗原測定は静菌作用を有する薬剤の影響をうけて、偽陰性となる恐れがあります。抗体検査は現在は静菌作用を有する薬剤の影響を受けないとされていて、除菌後も緩やかに抗体値が下がっていく経過をたどります。
また、静菌作用を有する薬剤は、ユービットの添付文書によると、「オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム等のプロトンポンプインヒビター(PPI)、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン、テトラサイクリン等の抗生物質、メトロニダゾール、ビスマス製剤及び抗ウレアーゼ活性のあるエカベトナトリウム水和物等のヘリコバクター・ピロリに対する静菌作用を有する薬剤」という記載があります。ちなみに、抗生物質には除菌に用いるアモキシシリン、クラリスロマイシン等が挙げられていますが、抗生物質は全部、静菌作用を有する薬剤に含むということでした。(大塚製薬DIより)
また、これらの静菌作用を有する薬剤はどの判定方法を用いる場合でも2週間以上の休薬、中止が必要とされています。そのため、逆流性食道炎の維持療法で、ずっとPPIを服用しているような患者さんや、マクロライドを少量長期で服用している患者さん、胃炎でエカベトナトリウム水和物を飲んでいるとか、風邪症状で抗生物質をもらった患者さんの除菌判定には、影響が出ないとされている血中抗体検査でもダメということになります。
実際に偽陰性になる可能性があるかどうかと、保険上問題となるかどうかで差がでてくるので気をつけましょう。